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著者からのメッセージ


 介護記録の研究の始まりは,平成6年にさかのぼります。介護老人保健施設の師長に着任し,ケア体制の整備に数々の様式・手順を作り,試用し,効果・成果を評価,不具合は修正するなかで,ケア管理者として利用者全員の介護記録に目を通すことを日々の業務としておりました。
 平成8年にはケアプラン作成に着手し,オリジナルのケアプラン策定手法の開発にも取り組み,多くの方々のご協力を得て「津田式ケアプラン」が完成しました。そのことが評価されて,平成14年度創意工夫功労者として文部科学大臣賞を受賞することになりました。

介護記録の良し悪しで介護現場が見えてくる
 介護記録は現場の実態を映しています。読み手に配慮した丁寧な記録を書く介護スタッフは,優しい介護を提供しているものです。良い介護記録に共通することは,観察した際に即座に必要な介護サービスをアセスメントし,介護を実践した後の利用者の反応や効果をとらえているため,サービスの根拠が明確で,第三者にも介護している様子がわかることでした。
 逆に,不適切な介護記録からは,介護スタッフや介護現場の課題が浮き彫りになります。

家族にお渡しできる介護記録を
 ある時,家族から利用者について「元気にしていますか?」と質問を受け,日頃の情報提供不足を実感しました。
 そこでチーム全員へ,「自分が利用者の家族であれば,施設での生活状況を知りたいはず。家族に安心していただくために,記録を見ていただこう。私たちが書いている介護記録は“利用者と介護スタッフの思い出=利用者が施設で過ごす足跡”なのよ。日記も書けない,話すこともできない利用者に代わって代筆する気持ちで書こうよ!」と呼びかけ,平成14年6月,介護記録を家族へお渡しするサービスを始めました。
 この取り組みは,ケアの質に良い効果をもたらしました。介護スタッフは思い出作りに,良いケアを探し,利用者が喜ぶ様子を記録するようになり,利用者の言葉を求めて対話が増え,接遇もよくなりました。

介護記録は介護スタッフ,利用者・家族のためにある
 こうして,「介護記録のあり方」についての答えが見えてきました。介護記録を家族にお渡しすることで家族と情報を共有でき,激励や協力が増え,介護スタッフがやりがいを感じ,家族もチームメンバーなのだと思えるようになってきました。
 良い介護記録の追求は,サービスの質を良くし,利用者・家族・介護スタッフの満足度を高くするのだと実践を通して確信できました。

【略歴
1952年,徳島県相生町に生まれる。徳島県立看護学院看護婦科卒。
中西整形外科病院,共立病院,徳島健生病院で看護師として勤務ののち,天満病院,四国セント歯科で師長。
1994年より介護老人保健施設国府リハビリテーションフェニックスの師長を経て現職に至る。
看護師として30年余りの現場で多くの悩みや問題に遭遇し,高齢者ケアの現場の実態にフィットしたアセスメントツールを求めて「津田式ケアプラン」を考案する。
利用者・家族・スタッフを大切にした介護記録の研究では第一人者である。


 

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