前号では,福祉に関する動向について述べました。今号からは4回にわたり国家試験の勉強方法とポイントを紹介します。
 今号は共通科目,12月号では専門科目,1・2月号では直前の受験テクニックを紹介します。

共通科目の中で得意・不得意を見極める
 共通科目は社会福祉原論,社会保障論,公的扶助論,地域福祉論,心理学,社会学,法学,医学一般の8科目です。
 各科目10問ずつ出題されますが,それぞれの科目で満遍なく得点できればよいのですが,人によって得手・不得手があったり,問題の難易度にもばらつきがあったりします。そこで,まずは自分自身の得意な科目,不得意な科目をきちんと把握しておくことが必要です。
 一般的には公的扶助論,社会保障論,医学一般,心理学が得点しやすく,社会福祉原論,地域福祉論,社会学,法学は得点しにくいと言われています。

得点しやすい科目の学習のポイント
●公的扶助論
 なぜ,公的扶助論は得点しやすいと言われるのでしょうか。
 その答えは簡単です。実は,公的扶助の中心を担う生活保護法の改正はほとんど行われていないため,生活保護法の原理,原則,種類,扶助の方法を理解した上で,過去問題などで出題のパターンをつかめれば高得点が期待できます。
 これに加えて,生活保護の動向,低所得者対策(生活福祉資金)を押さえれば,学習に多くの時間を割かなくても高得点獲得は可能です。

●社会保障論
 この科目は,対象となる範囲は広いのですが,仕組みをきちんと押さえることで理解しやすくなります。
 試験で出題されるのは,社会保障制度の歴史と各種社会保険の内容です。社会保障制度の歴史については,社会福祉原論や公的扶助論と重複する部分です。各種社会保険については,社会保障がさまざまな保険事故に対する所得保障であることを理解しておく必要があります。
年金保険:障害・高齢・遺族に対する保障
医療保険:疾病に対する保障
介護保険:要介護状態に対する保障
雇用保険:失業に対する保障
労災保険:業務中の事故に対する保障
 それぞれ「保険者」「被保険者」「保険のサービス内容」「保険の財源」「保
険料」の5つのカテゴリーに分けて整理しておきましょう。すべてを整理するのには時間がかかりますが,時間をかければ得点できる科目です。

●医学一般
 この科目は,医療・福祉・介護の現場に従事されている皆さんにとって,身近で非常に取り組みやすい科目ではないでしょうか。
 試験のための勉強をするのではなく,日々のケアを振り返り,今までの経験や知識を整理しながら学習を進めていくことをお勧めします。
 社会福祉士のための医学知識ですから,医師国家試験のような専門的な内容の問題は出ません。家庭の医学レベルの知識を押さえておけば問題ありません。

●心理学
 近年の出題傾向を見ると,単なる知識ベースの出題よりも,より現場に即した実践的な内容の問題が増えている傾向にあります。
 だからといって基本的なところを軽視するわけにはいけません。心理テストなどの基本的知識も必ず押さえておきましょう。

得点しにくい科目の学習のポイント
●社会福祉原論
 社会福祉原論は共通科目,専門科目全13科目を一まとめにしたような科目で,出題範囲もあってないようなものであり,学習の仕方に迷うかもしれません。そこで,この科目は学習する方法を大きく分けましょう。
 1つ目は,ほかの12科目の学習に絞
る方法です。前述のように,社会福祉原論における重要なポイントは,ほかの12科目で押さえることができます。ですから,社会福祉原論として別に学習すると,どうしても重複する部分が多く出てきます。こうした無駄を防ぐために,あえて社会福祉原論に手を出さず,その分の時間を12科目に割くことで,より効率的な学習ができるでしょう。
 2つ目は,社会福祉原論中心に試験勉強をするという方法です。これは1つ目の方法と逆の方法で,社会福祉原論を基本に,ほかの科目を補完的に学習していきます。
 いずれにしても,試験までの短い時間を有効に使うためにも,試験勉強を始める前に社会福祉原論への取り組み方を決めておきましょう。

●地域福祉論
 この科目も社会福祉原論と同様に勉強しにくい科目です。
 地域福祉そのものは老人,障害,児童福祉に比べて比較的新しい分野ですが,近年の福祉の動きを見ると「地域」「在宅」という言葉はキーワードとなっているので重要な科目であると言えます。
 特に,1970年代からの流れは重要項目です。テキストに目を通す時間のある人はテキストを読みながら流れを整理し,時間のない人は過去問題を解くことを中心に学習を進めてください。

●法学・社会学
 全13科目のうちこの2科目だけは少し異質で,学習を始めようにもとっつきにくいという印象があるのではないでしょうか。
 しかし,介護保険施行後は,介護サービスは「利用者との契約」に基づいて行われるということになっています。そういった意味でも,法学における契約の概念や成年後見制度に関する知識は必須事項であると言えます。
 社会学については重点的に時間を取って学習を進めるというのは賢明ではありません。過去問題を中心に実際の国家試験で「5点ぐらい取れればいい」という感覚で学習を進めましょう。

合格に必要な得点を計算する
 合格するためには,まずは6割の得点と各科目での最低1点以上の得点が必要です。つまり共通科目の80点で考えると,各科目で1点以上得点し,トータルで56点取れば共通科目における合格ラインをクリアできます。
 学習する上で56点のうち各科目での必要得点の8点を差し引いた48点をどの科目でどのように稼ぐかという考え方が試験の合格には必要です。

(大阪・菅敦/社会福祉士)

 




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