記載力・表現力を高め誰が見てもわかる記録の書き方を身につける!
本書の特色
記録の改善ポイントを記載例で解説!
豊富な記載例で的確なSOAP記載の要点がわかる
問題点と改善ポイントの解説でスタッフ指導にも活用
開示請求に対応できる倫理面に配慮した書き方がわかる
著者
石綿啓子
新潟医療福祉大学 看護学部 看護学科 教授
鈴木明美
大東文化大学 スポーツ・健康科学部 看護学科 講師
遠藤恭子
獨協医科大学 看護学部 講師
石綿啓子:北海道深川市立病院で10年以上臨床を経験。獨協医科大学講師、国際医療福祉大学准教授、日本医療科学大学教授を経て、2021年4月より現職。文教大学人間科学部生涯学習学専攻修了。基礎看護学を専門領域とし、「最新の知識・知見」「対象者をイメージできる」「身近な題材を用いて具体と抽象を結びつける」をキーワードに自ら学ぶ学生を育てる。
鈴木明美:福島県立医科大学大学院看護学研究科修了。国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科博士課程修了。元がん性疼痛看護認定看護師。現在は、教育研究機関に所属し、がんサバイバーに対する支援、手術後患者の体力回復についての研究に取り組んでいる。
遠藤恭子:東京大学医学部付属看護学校卒業。東京大学医学部付属病院第二内科で5年間臨床を経験。足利短期大学看護科臨地実習指導員、上尾中央看護専門学校添削指導員を経て、2010年より現職。目白大学大学院看護学研究科看護マネジメント専攻修了。
主な内容
第1章 看護記録の基礎
看護記録とは何か
看護記録システム
看護過程と問題解決型思考(POS)
記録が困難な理由
第2章 SOAP記録を書くポイント
1.SOAPを書くポイント
2.的確に記録を書くポイント
第3章 記載例で学ぶ
SOAPがうまく書けない場合の問題点と修正のポイント
1.看護問題
記載例1 患者の状態と看護問題がずれている
記載例2 看護問題と看護目標がずれている
記載例3 看護問題に関係しない記録がある
記載例4 看護問題が2つ入る
2.SとOの関係
記載例5 SとOが重複している
記載例6 SとOが一致しない
記載例7 Oが症状・データばかりになる
3.S・OとAの関係
記載例8 SとOばかりでAとPがない
記載例9 S・OとAが一致しない
4.OとAの関係
記載例10 OとAが混同する
記載例11 Aが診断・治療効果になる
5.AとPの関係
記載例12 AとPを分けていない
記載例13 AとPが合わない
第4章 記載例で学ぶ
開示請求に対応できる倫理面に配慮した記録の表現
1.看護記録に求められる倫理的配慮
2.尊厳の尊重(1) 性格に関する否定的な表現
記載例1 扱いにくい性格に関する表現
「気難しい」
記載例2 知的能力の評価にかかわる表現
「理解力が低い」
記載例3 性格に関する肯定的表現
「几帳面」
3.尊厳の尊重(2) 状態に関する否定的な表現
記載例4 身体的状態に関する表現
「ビショビショ」に濡れた状態
記載例5 精神的状態に関する表現
「頑固」な性格
4.尊厳の尊重(3) 態度に関する否定的な表現
記載例6 かかわりに対する反応
「消極的」「やる気なし」
記載例7 かかわった時の状態
「しつこく」「不機嫌」
5.平等な看護の提供(1) 人種・民族・社会的地位への偏見・差別の表現
記載例8 人権・民族に関する記述
「在日外国人である」
記載例9 社会的地位に関する記述
「ホームレスである」
6.平等な看護の提供(2) 宗教・病気への偏見・差別の表現
記載例10 宗教に関する記述
「熱心なイスラム教の信者」
記載例11 病気(精神疾患)への偏見
「季節の変わり目でおかしい」
記載例12 病気(HIV感染症など)への偏見
「内服が難しい」「性格的なもの」
7.信頼関係に基づく看護についての表現 患者の暴言・暴力に関する表現
記載例13 身体的暴力に関する記述
「点滴を引きちぎって血だらけ」
記載例14 暴言(言葉の表現)に関する記述
「怒鳴っている」
記載例15 暴言(内容)に関する記述
「暴言を吐く」「そっぽを向く」「口を閉ざす」
記載例16 セクシャル・ハラスメントに関する記述
「にやにやしている」「セクシャル・ハラスメント的」
8.人々の保護,安全確保の表現(1) 身体拘束・抑制の表現
記載例17 身体拘束・抑制の表現
状況・程度・対策が正確に伝わらない
記載例18 抑制の経過中の記録
必要性と患者への影響が記載されていない
9.人々の保護,安全確保の表現(2) 転倒・転落の表現
記載例19 転倒が疑われる記述
推測や憶測による記録
記載例20 転落が疑われる記述
状況・看護師の判断・行動の記載が不足している記録
10.人々の保護,安全確保の表現(3) 入院ルールからの逸脱の表現
記載例21 治療効果を高めるための制限が守れない状況の記録
憶測で患者を傷つける
記載例22 集団での生活による制限が守れない状況の記録
患者の性格を決めつける
11.客観性に乏しく誤解を招きやすい表現(1)
あいまいで状況が読み取りにくい表現
記載例23 思い込みによる記録
記載例24 根拠があいまいで判断に自信がない表現
12.客観性に乏しく誤解を招きやすい表現(2)
略語や造語で伝わりにくい表現,医療者の権威を表す指示的・命令的な表現
記載例25 略語や造語で伝わりにくい表現 仲間内でしか通じない言葉
記載例26 医療者の権威を表す指示的・命令的な表現
医療者が優位であるかのように感じさせる言葉
13.客観性に乏しく誤解を招きやすい表現(3)
家族との行き違いについての表現
記載例27 医療者側の説明や方法の記載が不足
記載例28 家族の反応や状況の記載が不十分
※本書は、書き下ろしに、『看護きろくと看護過程』掲載の「記載事例から学ぶSOAP記録の書き方―適切に記録できない場合の問題点と修正ポイント」(Vol.23、No.1~6)、「記載事例で学ぼう! 開示請求に対応できる倫理面に配慮した記録の表現」(Vol.24、No.2~Vol.26、No.1)、「なぜアセスメントを書くのは難しいのか」(Vol.26、No.2)を加え、再編集したものです。