地域包括ケア時代の施設ケアプラン記載事例集



我流ではなく、適切なケアプラン立案を事例で学ぶ


 介護保険制度の開始と共に在宅のケア現場にケアマネジメントの手法が導入され,チームケアの連携シートとしてケアプランが活用されるようになりました。しかし,それから10年を経過しても,施設でケアプランが十分に活用されるようにはなりませんでした。
 「なぜ施設では十分に活用されないのか」。
 この現状に一石を投じたのが前著『施設ケアプラン記載事例集』です。この中で,その原因を「施設ケアプランへの理解不足と軽視がある一方で,現場が活用したいレベルになっていない」と指摘しました。施設ケアプランを「ケアの連続性,施設ケアマネジメントの質の向上,施設マネジメントのツール」として位置づけ,それが可能となる施設ケアプランを具体的な記載事例集としてまとめました。
 あれから5年が経過し,介護・医療・福祉は地域包括ケアシステムの中に位置づけられることになり,介護施設の立ち位置も大きく変わろうとしています。そしてサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームなど居住系施設の急増は,介護保険施設のあり方とケアの内容に大きな変化をもたらしました。
 今回の改訂版は,「地域包括ケア時代におけるチームケア実践の視点に立つ施設ケアプラン」をコンセプトとし,3つの特徴を持たせています。
 第1の特徴は,地域包括ケアシステムにおける「ケアの連続性」です。施設に入所するまでの数年から10年ぐらいに実践された在宅ケアを「支援これまでマップ」で見える化することで継ぎ目のないケアを目指すことができます。
 第2の特徴は,「本人らしさ」を基本においた「CADL(文化的日常生活動作:高室成幸提唱)」をアセスメント領域として位置づけた点です。施設ではIADL(料理,洗濯,掃除など)は施設側が行うため,ケアはADL中心にならざるを得ません。しかし,本人の意欲を引き出すのは「役割」「生きがい」「楽しみ」です。CADLの向上を目指すことにより,本人とケアチームに方向性と意欲が生まれます。とりわけ認知症ケアでは大切な視点であり,地域の社会資源を積極的に活用することに連動します。
 第3の特徴は,「評価できる課題・目標設定」にこだわったケアプランとしたことです。プランニングはスタートです。数カ月後のモニタリングで本人の変化(改善・維持・低下・悪化)と満足度,そしてケア実践および施設ケアマネジメントが「評価」され,さらなる質の向上を目指すことができることこそ重要です。
 本書は,前著で全国の介護保険施設から提供いただいた事例をこれらの視点でさらに実践的に改訂いたしました。前著で本書の趣旨を理解し,大変貴重な事例を提供いただいた施設長ならびに職員の皆様に改めて心から感謝をいたします。
 本書が,持続できる地域包括ケアシステムに応えられる施設ケアプランと施設ケアマネジメントの創造と現場の施設介護支援専門員および各専門職の皆さんの一助となれば幸いです。

  2017年2月

監修・執筆 高室 成幸
執筆 奥田亜由子

 

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地域包括ケア時代の施設ケアプラン記載事例集
B5判 272頁
定価 3,612円+税
 
 

 

 


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