認知症がある人のケアマネジメント事例集



「課題抽出のポイント」「目標設定のポイント」
「支援上の留意点とケアマネジメントの急所」を解説


 20年前に比べると,認知症のご本人やご家族を支える社会の仕組みは随分整備されてきました。しかしその中で,本人が医療や介護を受けるまでには,これまでも時間がかかっているという指摘がありました。これは,制度の問題だけでなく,認知症の特性として病気を自覚しにくいということやご家族も病気を認めたくないことなど,いろいろな要因があると思います。
 これまでは,このような状況にあるご本人やご家族にこちらからアプローチする方法や仕組みが限られていました。認知症初期集中支援チームは,専門家の多職種チームがこちらからご本人の元を訪れて,本来必要な医療や介護につなぐという,これまでになかった機能を有しています。また,つないだ後も継続して利用できているかを確認するという機能も持っています。これまでに3年間のモデル事業,3年間の地域支援事業による全国での設置過程の中で,2018年度はほとんどの市町村でこのチームが立ち上がろうとしています。このチームがかかわることで,認知症の診断がついたり,専門医を受診する率が上がったり,介護保険サービスの利用が増えたりすることはもちろんですが,(1)チームの介入が終了した時点で約8割が在宅生活を継続できていた,(2)行動・心理症状の評価尺度であるDBD-13と介護負担尺度であるJ-Zarit_8がチームの介入時と終了時で有意に改善しているといった有効性が示されています。
 このようなチームですので,認知症の人やご家族の最も近くで支えているケアマネジャーさんは最も重要な協力者であり,また実際にチームの一員として活躍していただく機会も増えてくるのではないかと思います。そのような状況で認知症について分かりやすい解説が欲しい,認知症初期集中支援チームについて知りたいというご要望があちらこちらから届いていました。また,実際にどのような事例に出会い,どのように対応しているのか知りたいという声も多く聞かれました。
 本書は,このような要望に応えるべく,実際の現場で活躍している名古屋市のチームが収集した事例に,認知症や認知症初期集中支援チームの解説を加えたものです。現場の皆さんのお役に立てれば幸いですし,さらにはご本人やご家族の助けになることがあれば望外の喜びです。

2018年5月

国立長寿医療研究センター 副院長 鷲見幸彦

 

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認知症がある人の
ケアマネジメント
事例集
B5判 2色刷 148頁
定価2,408円+税
 
 

 

 


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